のどの病気
のどの病気

口の中の痛みや腫れ、のどが痛い、違和感がある。飲み込みにくい、むせやすい。食事が食べられない。息が苦しい。
このような症状があれば、受診して相談してください。
いつから?何かきっかけはありますか?他にお薬を飲んでいますか。など問診があります。
お口の中を診察する時には顕微鏡で観察します。舌の色調の変化や口内炎、腫れや腫瘍がないかを視診します。また手袋をつけてお口の中を触診して硬結がないかや圧痛がないかを触診します。
また唾液の分泌が減っていないか、耳下腺や顎下腺をマッサージしながら確認します。
咽頭の診察では舌を舌圧子で軽くよけて口蓋垂、軟口蓋、口蓋扁桃を観察します。嘔吐反射や気持ち悪い患者さんでも細いファイバースコープでモニターを見ながら観察できます。赤くなっていないか、腫れていないか、リンパ濾胞(リンパの塊)が増えていないかなど、詳細に観察し記録して説明します。
最近では胃カメラの検査も鼻孔を通して行われますが、細い経鼻ファイバーで観察すると上咽頭(鼻の奥から口蓋垂まで)をモニターで観察することができます。鼻孔に経鼻ファイバーを挿入する前にはキシロカインという麻酔液をスプレーして行うこともあります。少しでも苦痛を軽減するようにしています。
咽頭を通過すると喉頭蓋が見えます。この奥に声帯があります。声がかすれたり、声がでない時には声帯に異常がないかを観察します。
声帯の色や形の変化、声帯の動き方や振動についてモニターに拡大して観察します。実際に声を出しながら、または唾液や水を飲みながら観察することができます。
喉頭の後方には下咽頭があります。食べ物や水が通る道です。喉頭と下咽頭は同時に観察します。色調の変化や粘膜の血管の増加を詳しく観察するためにNBI(Narrow Band Imaging)というフィルターで観察します。早期の表在性がんを発見することが目的です。
何か異常があれば電子スコープで写真を撮影し、これを見ながら精密検査についてお話をしていきます。
口内炎には、アフタ性口内炎、ウイルス性口内炎、カンジダ性口内炎、アレルギー性口内炎など、色々なタイプがありますが、最もよくみられるのはアフタ性口内炎です。境界がはっきりした数ミリの白い潰瘍病変で、その周囲には発赤を認めます。会話や飲食のときの接触刺激により強い痛みを伴います。噛んだり、歯ブラシで傷つけたり、やけどなどの傷から雑菌が入り込んで炎症が起こり、ストレスや疲労による免疫力の低下、ビタミンなどの栄養不足、口の中の不衛生といった多くの要因が発症に関係するといわれています。
ウイルス性口内炎はヘルペス、手足口病、ヘルパンギーナ(夏風邪)、はしかなどのウイルスが原因となることがあります。カンジダ性口内炎は、カンジダという真菌(カビ)の一種が原因で、糖尿病の方や喘息治療に用いる吸入ステロイド剤を使用している方に発症しやすくなります。
治りにくい口内炎の場合、口腔がんの初期症状であったり、一度に何カ所もできたり、発症を何度も繰り返す場合は、全身性の自己免疫疾患の一症状として現れていることもあります。
口腔乾燥症は、唾液の分泌量が低下することで唾液の質にも異常をきたし、喉が渇いたり口の中が乾燥したりして、痛みや不快感を伴います。起因する症状としては、水分の少ない食品(クッキーやクラッカーなど)がうまく飲み込めないといった嚥下障害、口の中のネバつき、くちびる・舌・口の中の粘膜が乾燥し、夜中に何度も目が覚める、味覚障害が出て食事が美味しくない、といったことが挙げられます。そのほか、カンジダ菌の増殖による舌の痛みや口角炎、歯周病や虫歯の発症、入れ歯の不適合や装着時の痛み、舌苔(ぜったい)の肥厚、口内炎や口臭、さらには誤嚥性肺炎や心臓疾患を引き起こす原因になることもあり、決してあなどれない病態です。
扁桃は、喉(咽頭)に存在するリンパ組織の集まりで、鼻腔の後方の上咽頭にある咽頭扁桃、口を開けたときに口蓋垂(こうがいすい)の両側にみえる口蓋扁桃、舌のつけ根にある舌根扁桃(ぜっこんへんとう)の3つがあります。扁桃腺(口蓋扁桃)がウイルスや細菌の感染によって、炎症を起こした状態が急性扁桃炎です。本来、免疫の役割を持つ扁桃が、疲労などで体力が低下した時などに病原体の感染力が勝ることで発症します。子どもや20~30歳代の若い方によく起こります。主な症状は、喉の強い痛み、発熱(高熱)、耳の痛みで、飲み込むときに痛みが生じる嚥下痛(えんげつう)や倦怠感を伴うこともあります。このときに口蓋扁桃は赤く腫れ、白い膿(膿栓:のうせん)がついていたり、表面全体が白い膜(偽膜:ぎまく)で覆われていたりします。
急性扁桃炎が悪化すると、炎症が扁桃の周囲まで及ぶ「扁桃周囲炎」や、扁桃のまわりに膿が溜まる「扁桃周囲膿瘍」を引き起こします。発熱、喉の腫れ・痛みがさらにひどくなり、痛みで食事が摂れなかったり、口が開けられなくなったり、耳痛(じつう)を伴うこともあります。扁桃腺周囲炎は、急性扁桃炎が治りかけた際に治療をやめてしまうことに起因することが多いため、完治するまでしっかり治療を継続することが大切です。
喉頭蓋(こうとうがい)とは、声帯の少し上にある軟骨でできた突起で、物を食べた時に誤って気道に入らないよう、気管の入り口にふたをする役割を担っています。ここに細菌やウイルスが感染し、急性の炎症が起きた状態を急性喉頭蓋炎といいます。
初期段階では、物を飲み込む時の喉の痛みや異物感程度の症状しか認めませんが、次第に発熱や激しい喉と首の痛みが現れ、唾液ですら飲み込めなくなることもあります。声も出しにくくなります。炎症がひどい場合には、喉頭蓋が腫れて空気の通り道をふさいでしまい呼吸困難にいたる危険性もあります。痛みがひどく、含み声や声がれを伴い、息苦しいなどの症状が出てきた場合は、早急に受診してください。
急性咽頭炎は、主に細菌やウイルスなどの感染が原因です。咽頭は鼻や口を通して直接外気と接するところなので、これらの感染が起こりやすいといえます。睡眠不足や疲れなどで身体の抵抗力が低下しているときに、咽頭が細菌やウイルスに感染すると、炎症を起こして赤く腫れます。喉にヒリヒリした痛みや違和感があり、とくに物を飲み込むときに痛みを伴います。咳や痰、耳痛、全身の倦怠感、発熱がみられることもあります。咽頭の炎症が慢性化した状態が慢性咽頭炎です。原因としてはウイルスや細菌の感染のほか、胃酸の逆流、自己免疫疾患や性病などでも発症することがあります。
咽頭炎の炎症の広がりや、アレルギー、喫煙などが原因で起こる喉頭の炎症を喉頭炎といいます。喉の痛みや咳、発熱が主体で、声帯が発赤し腫脹するため声がかすれて発声がしにくくなることもあります。
咽頭は位置の高さに応じて上咽頭、中咽頭、下咽頭に分けられ、下咽頭の前方には喉頭があります。いずれの部位にもがんはできますが、部位によってそれぞれ特徴や症状が異なります。
上咽頭がんは、喉の上部に発生するがんで原因としてEBウイルスと呼ばれるウイルスが関連するものと、喫煙や過度の飲酒が関連するものが考えられています。初期症状は、耳の閉塞感や中耳炎といった耳の症状、鼻血や鼻づまりといった鼻の症状が起こりやすくなります。また、上咽頭がんが首のリンパ節に転移したことによって現れる“首のしこり”で気付かれることもあります。
中咽頭は、口の上部の奥にある柔らかい軟口蓋(口蓋垂⦅のどちんこ⦆とその周りの動く部分)、両脇の扁桃、舌根部(舌の奥の1/3の部分)、喉のつき当りの部分の後壁からなり、その部分に発生するのが中咽頭がんです。喫煙・飲酒といった生活習慣と強い関連があり、また、ヒトパピローマウイルス(HPV)が発症の危険性を高めることも分かっています。50~70歳代に好発し、女性よりも男性に多い傾向があります。初期症状には、飲み込むときの違和感、咽頭痛、吐血、口を大きく開けにくい、舌が動かしにくい、声の変化、耳痛などがありますが、無症状のこともあり、口の奥、喉、首のしこりで気付かれる場合もあります。
下咽頭は、喉下部の最も食道に近い部位であり、のどぼとけの裏あたりから食道までをいいます。その部分に発生するのが下咽頭がんで、目に見えない位置にあるため発見が遅れやすく、咽頭がんのなかでも治療が難しいがんと言われています。喫煙・飲酒と強い関連があり、飲酒量の多い人やヘビースモーカーの人は、下咽頭がんのリスクが高くなると考えられています。50~70歳代で発生しやすく、女性よりも男性に多い傾向があります。
初期症状は喉の痛みや飲み込むときの違和感(喉のつかえ)、声のかすれなどです。症状が軽いことが多く、首のリンパ節へ転移し、首の周りにしこりができることで、はじめて気付かれることもしばしばです。
のどの痛みの多くはウイルス性によるのど風邪ですが、細菌感染である場合、溶連菌を疑います。治療は、基本的には抗生剤を正しく使用することで改善する場合が多いです。
EBウイルスは一種の風邪ウイルスであり、ほとんどの方が幼い頃に感染を起こし、軽い風邪症状で済んだり、特に症状を起こさずに済んでしまいます(不顕性感染)。しかし大人になって初めてこのウイルスに感染すると、急性扁桃炎に似た強い症状を起こすことがあります。安易なペニシリン抗菌薬は肝機能障害を悪化させる可能性がありますので要注意です。
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