くびの病気
くびの病気

耳鼻咽喉科では、耳・鼻・のどの病気だけでなく、首(頸部)に関する症状も診察しています。首に腫れやしこりを感じた場合は、放置せず、できるだけ早めに受診することが大切です。
診察では、まずいつ頃から症状に気づいたか、腫れが徐々に大きくなっているかどうか、痛みの有無、他にも同様のしこりがないかなど、詳しく問診を行います。腫れやしこりの位置や性質も診断の重要な手がかりとなるため、丁寧に触診を行いながら確認します。
必要に応じて、頸部のエコー検査(超音波検査)を行い、腫れの内部構造を観察します。また、耳・鼻・のどに関連する病気がないかを調べるため、顕微鏡や電子スコープを使って耳鼻咽喉領域全体を詳しく診察します。
腫瘍の可能性がある場合には、注射器でしこりの内部から液体や細胞を採取し、病理検査に提出します。さらに、CT検査やMRI検査を行って、腫瘍の性質や周囲への広がりを詳しく調べることもあります。
診断の結果、専門的な治療が必要と判断された場合には、頭頸部外科の専門医をご紹介し、確定診断と治療方針を相談します。患者さんと一緒に最善の治療法を考え、安心して治療に臨めるようサポートしていきます。
唾液は耳の下にある耳下腺や顎の下にある顎下腺などの唾液腺でつくられ、管を通って口の中に分泌されます。顎下腺唾石症とは、この管の中で唾液の成分からできた結晶が塊(唾石)となり、次第に大きくなって管を塞ぐことで症状が現れる病気です。唾石は特に顎下腺に多く発生します。食事の際に唾液が多く分泌されると、唾石によって唾液の流れが妨げられ、唾液腺が腫れて痛みを伴います。食事をやめると腫れは自然に引いていきます。まれに唾石が自然に排出されることもありますが、多くの場合は手術によって唾石を摘出する必要があります。唾石が腺の近くにある場合には、顎下腺ごと摘出することもあります。
耳の前や耳の下にしこりが現れる病気で、比較的若年層に多く見られます。女性では多形腺腫という良性腫瘍が多く、男性では中年以降で喫煙歴がある場合にワルチン腫瘍という良性腫瘍が多く見られます。まれに悪性腫瘍(がん)が発見されることもあるため、超音波検査やMRIなどの画像検査、腫瘍の細胞を一部採取して行う病理検査が重要です。治療は基本的に手術による腫瘍の摘出が行われます。
顎の下にしこりが現れる病気で、押しても痛みがないことが多いです。リンパ節の腫れと区別が必要ですが、顎下腺内にできた腫瘍の場合、多形腺腫という良性腫瘍が多く見られます。まれに悪性腫瘍が発見されることもあるため、超音波検査やMRI、細胞検査が重要です。治療は手術による摘出が基本となります。
首の前面に柔らかい、または弾力のあるしこりがある場合、甲状腺腫瘍の可能性があります。まずは血液検査と画像検査を行い、必要に応じて細胞検査を実施します。腫瘍が小さく、画像検査で悪性の可能性が低い場合は経過観察も可能です。まずは甲状腺がんの可能性を慎重に判断することが重要です。
甲状腺内に液体を含む袋状の構造ができる状態で、一般的には心配のない良性の病変です。ただし、袋の中に液体以外の充実性部分が含まれている場合は、悪性の可能性もあるため注意が必要です。
首の両側には多くのリンパ節があり、これらが腫れる病気を頸部リンパ節炎と呼びます。痛みを伴う場合と伴わない場合があります。風邪などで鼻や喉に感染が起こると、細菌やウイルスが体内に侵入し、リンパ節がそれらを食い止めるために腫れて痛みが出ます。腫れが長引く場合は、血液検査や超音波検査、CT検査などの精密検査が必要です。
頸部のリンパ節が腫れる原因には、炎症性疾患と腫瘍性疾患があります。炎症性ではウイルスや細菌によるリンパ節炎が多く、抗菌薬や消炎鎮痛薬で通常1〜2週間で改善します。結核性リンパ節炎の場合は、結核に対する治療が必要です。腫瘍性では、悪性リンパ腫や他の部位からのリンパ節転移があり、抗がん剤などによる治療が行われます。その他にも、伝染性単核球症、組織球性壊死性リンパ節炎、サルコイドーシスなどの疾患もあり、見逃さないよう注意が必要です。
耳の前から下にかけて腫れ、熱感、痛みが現れる病気です。耳下腺は唾液を分泌する器官で、口の中からウイルスや細菌が逆流して感染を起こすことで症状が出ます。おたふく風邪もこの一種です。小児期には反復性耳下腺炎として繰り返すこともあります。診断と治療のためには早めの受診が重要です。
幼稚園年長から学童期の子どもに多く見られる感染症で、ムンプスウイルスが原因です。耳の前から下にかけて腫れ、発熱、痛みなどの症状が現れます。感染力が強く、発症後最低5日間は登校できません。まれに聴力障害や髄膜炎を引き起こすことがあり、大人が感染すると睾丸炎、卵巣炎、膵炎などの重症合併症を起こすことがあります。ワクチンによる予防は可能ですが、完全ではなく、感染時の症状軽減が期待されます。基本的には症状が落ち着くまで自宅で安静に過ごすことが求められます。
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